理学療法士が知っておくべき理学療法プロセス:患者様との信頼関係を築き、効果的なリハビリテーションを提供するための完全ガイド

理学療法プロセス

理学療法士として、患者様の機能回復と生活の質向上を支援するためには、理学療法プロセスを理解し、実践することが不可欠です。理学療法プロセスは、患者様と初めて会う前から始まり、継続的な評価と治療を通じて、患者様の目標達成をサポートする一連の流れを指します。

この記事では、理学療法プロセスの各段階を詳しく解説し、それぞれの段階で考慮すべきポイントや注意点、そして臨床現場での具体的な実践方法について掘り下げていきます。

目次

疾患について調べる:準備は成功の鍵

担当する患者様が決定したら、まずは疾患について徹底的に調べましょう

  • 疾患の定義、症状、進行過程: 基本的な情報を把握し、患者様の状態を理解するための基礎知識を身につけます。
  • 治療法(手術・保存療法): 患者様が受けている治療法を理解し、リハビリテーションとの連携を図るために必要な知識を習得します。
  • リスク管理: 疾患に伴う合併症や注意点を知り、安全なリハビリテーションを提供するための準備をします。

疾患に関する情報は、教科書医学書学術論文インターネットなど、様々な情報源から収集することができます。信頼性の高い情報源を選び、最新の知見を取り入れるように心がけましょう。

カルテからの情報収集:患者様を理解するための第一歩

疾患に関する一般的な情報を把握したら、次は患者様のカルテから具体的な情報を収集します。

  • 一般的情報: 氏名、年齢、性別、職業など、患者様の背景を理解するための情報です。
  • 医学的情報: 診断名、現病歴、既往歴、手術歴、画像所見、検査データなど、医学的な視点から患者様の状態を把握するための情報です。
  • 社会的情報: 家族構成、自宅環境、退院後の生活状況など、社会的な視点から患者様の生活背景を理解するための情報です。

カルテ情報は、患者様とのコミュニケーション治療計画の立案に役立ちます。カルテの内容と疾患に関する知識を照らし合わせ、患者様の全体像を把握するように努めましょう。

評価項目の列挙と計画:患者様中心のアプローチ

患者様の全体像を把握したら、次は評価項目を列挙し、評価計画を立てます。

  • 評価項目: 患者様の状態を評価するために必要な検査や測定項目をリストアップします。
  • 評価計画: 評価項目の実施順序や方法、使用する器具、時間、環境などを具体的に計画します。
  • リスク管理: 評価中に起こりうるリスクを予測し、対策を検討します。

評価項目は、患者様のニーズ目標に合わせて選択することが重要です。また、評価計画は、患者様の身体的・精神的負担を最小限に抑えるように配慮しましょう。

評価項目が列挙できたら、次はどういった手順で評価を行っていくのかを考えておくのも大切です。

ありがちなのが、まずはROMを全て測って、次はMMTを測ってというやり方です。これだと患者様は座って、寝転んで、また座ってと何度も動く必要があり疲れてしまいます。患者様が来て座ってもらったならまずは座ってできる検査を全てやる→次は背臥位でできるもの→次は腹臥位でできるものと体位事に検査測定を分けておくと患者様はもちろん、自分自身も楽にできます。

理学療法評価の実施:患者様との対話から始まる

いよいよ患者様と対面する段階です。まずは医療面接を通じて、患者様の主訴困りごと期待などを丁寧に聞き取りましょう。

医療面接で得られた情報と、事前に収集した情報、評価結果を総合的に判断し、患者様の状態を多角的に分析します。

医療面接についてはこちらの記事で詳しく書いてあるので参考にしてください。

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統合と解釈:問題点を明確化し、優先順位をつける

評価結果を統合し、解釈することで、患者様の問題点を明確化し、優先順位をつけます。

  • 問題点の抽出: 患者様の身体機能、活動、参加における制限や障害を特定します。
  • 問題点の分析: 問題点の原因や影響を分析し、なぜその問題が起こっているのかを理解します。
  • 優先順位の設定: 複数の問題点がある場合は、患者様のニーズや目標を考慮して、優先順位を設定します。

この段階では、客観的なデータ主観的な情報を組み合わせ、患者様中心の視点で問題点を捉えることが重要です。

ゴール設定:患者様と共有する目標を明確にする

統合と解釈で得られた情報を基に、患者様と共有する目標を設定します。

  • 短期目標: 数週間から数ヶ月で達成可能な、具体的な目標を設定します。
  • 長期目標: 数ヶ月から数年かけて達成を目指す、より大きな目標を設定します。

目標は、患者様の意欲を高め、リハビリテーションのモチベーションを維持するために重要な役割を果たします。患者様と協力して目標を設定し、定期的に進捗状況を確認しながら、必要に応じて目標を修正していくことが大切です。

治療プログラム立案・実施:エビデンスに基づいた個別性のある治療

設定した目標を達成するために、エビデンスに基づいた効果的な治療プログラムを立案し、実施します。

  • 治療計画: 具体的な治療内容、頻度、期間などを計画します。
  • 治療の実施: 計画に基づいて治療を実施し、患者様の反応や変化を観察します。
  • 評価と修正: 治療効果を評価し、必要に応じて治療計画を修正します。

治療プログラムは、患者様の状態目標生活環境などを考慮して個別性を重視することが重要です。また、最新のエビデンスに基づいた治療法を選択し、常に効果検証を行いながら治療を進めることが求められます。

理学療法プロセスの継続的な実践:PDCAサイクルを回す

理学療法プロセスは、一度きりのものではありません。患者様の状態は常に変化するため、定期的な評価治療計画の見直しが必要です。

PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Act)を意識し、継続的な改善を図ることで、より効果的なリハビリテーションを提供することができます。

まとめ:理学療法プロセスをマスターし、患者様の人生を豊かに

理学療法プロセスは、患者様との信頼関係を築き、効果的なリハビリテーションを提供するための重要な枠組みです。

この記事で紹介した内容を参考に、理学療法プロセスを深く理解し、実践することで、患者様のQOL向上に貢献できる理学療法士を目指しましょう!

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