理学療法プロセスとは、理学療法士が行うアプローチ全てのことを指します。
担当する患者様が決定し、その後どのような流れでアプローチを行っていくのか?
今回はその理学療法プロセスについて、一つずつ簡単に紹介していきます。
患者様に会う前からこの理学療法プロセスは始まります。
これを頭に置いて、しっかり進めていきましょう!
疾患について調べる

担当する患者様が決まったらまずは疾患について調べましょう。
- どういった疾患なのか?
- どういった症状が起こりそうか?
- どういう風に進行していくのか?
- 手術?保存?手術ならどういった方法があるのか?
- どういったリスク管理が必要か?
まずは一般的に言われていることの情報をできる限り集めておきましょう。
もちろん患者様に当てはまらないことも出てきますが、できるだけ多く情報を持っておくことは重要です。
手術をするなら、この筋肉を切っているなどの情報も必用になります。
もちろん主疾患だけでなく、合併症・既往歴まで調べておく必要があります。
患者様に会う前のこの疾患について調べるのがとても重要なので、学生は特にしっかり行いましょう。
カルテからの情報収集

疾患について一般的な情報を得たら、次は患者様のカルテからの情報収集です。
まだこの時点では患者様とは会っていません。
一般的情報・医学的な情報・社会的な情報の3つを軸に収集していきましょう。
一般的情報
- 氏名
- 性別
- 年齢
- 職業
医学的情報
- 診断名
- 現病歴(発症日、受傷理由など)
- 発症からの経過
- 既往歴
- 合併症
- 画像所見
- 手術記録
- 血液検査、心電図など
社会的情報
- 家族構成
- 退院後の受け入れなど
この後、医療面接の際に同じこと聞く機会もありますが、しっかりと事前に情報を収集しておきましょう。
医療面接の際にも、昔○○で入院されたようですが、現在はどうですか?などという風にスムーズに話を進めることができます。
また合併症や血液検査、手術記録などはリスク管理にも大きく関わってきますので、サボらずにしっかりとみておくようにしましょう。
ここで、疾患について調べたこととカルテからの情報収集を合わせて、どういった患者様なのかある程度疾患増を作っておきましょう。
評価項目の列挙

疾患増を把握できたら、次はこの患者様に対してどういった評価・検査を行うのかを列挙していきます。
この疾患だからこの検査だろうではなく、この患者様はこういった背景があるのでと、どういった目的でその検査測定を行うのかを明確にしておきましょう。
評価項目が列挙できたら、次はどういった手順で評価を行っていくのかを考えていきます。
学生でありがちなのが、まずはROMを測って、次はMMTを測ってというやり方です。
これだと患者様は座って、寝転んで、また座ってと何度も動く必要があり疲れてしまいます。
患者様が来て座ってもらったならまずは座ってできる検査を全てやる→次は背臥位でできるもの→次は腹臥位でできるものと体位事に検査測定を分けておくと患者様はもちろん、自分自身も楽にできます。
事前にどれだけ準備ができているかが大切です。
- 時間
- 環境(ベッドでやるの?平行棒でやるの?)
- 手順
- 使う道具(ゴニオメーター、ストップウォッチ、歩行器など)
- 起こり得るリスクの把握
- 記録用紙の準備
などは最低限やっておきましょう。
理学療法評価の実施

ここで初めて患者様と相対します。
まずは医療面接で情報を聞き出しましょう。
医療面接についてはこちらで紹介しています。


情報収集が終われば、検査測定に移っていきます。
しっかり事前の準備ができていれば、リスク管理を行いながら検査測定に臨むことができるかと思います。
また事前の準備として、検査測定も練習しておかなければ患者様にやることなんてできません。
検査測定でも大切なのは事前の準備です、しっかりと何度も練習しておきましょう。
これで初期評価は終了です。
統合と解釈
検査策定の結果を踏まえて、ここで統合と解釈を行っていきます。
得られた情報から、どれがこの患者様にとって問題なのかをピックアップし、ではなぜそれが問題なのかを述べ、問題点の優先順位を決めていきます。
学生の私もここが結構しんどいところではありますね。
簡単に言うと、患者様は何に困っているのかを明確にし、説明するといったところです。
ゴール設定

次にゴール設定を行っていきます。
統合と解釈を踏まえ、短期ゴールと長期ゴール(中期ゴールを入れることも)を設定していきます。
私は短期ゴールは約2週間、長期ゴールは1か月から2か月で設定することが多いです。
現在の状態や、経過などいろいろな状態を踏まえてゴール設定を行いましょう。
治療プログラム立案・実施

ゴール設定ができたら、次はそのゴールに向けてどういった治療を行っていくのかを考えていきます。
学生のうちは教科書などに載っている基本的な治療が中心になると思います。
またその後も先ほどの検査測定と同じように、しっかりと治療前に準備を行っておきましょう。
その後、実際に患者様に対して治療を実施していきます。
治療介入後は、初期評価時とどう変わってきたのかを見ておくことが重要です。
変化があった場合はもちろん、なかった場合もなぜ変化が起こったのか(起こらなかったのか)を考えることを忘れないようにしましょう。
内容によってはもう一度評価を実施し、新たに問題点を抽出する必要があります。
また違う治療プログラムを立案する必要がある場合もあります。
理学療法プロセスについてのまとめ
今回は理学療法について紹介させていただきました。
練習でできないことは本番ではできません。
そんなリスクのある事を患者様にはできないですしね。
理学療法プロセス、基本ですがとても大切なことなので是非覚えていってください!

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