理学療法を行う上で問診(今は医療面接ともいいます)は必ず必要なことです。
検査測定、そしてその後の治療へとつなげるために一番初めにするべきことになります。
理学療法の大学でもまずはこれを実際にやる練習をやらされるはずです。
しかし一方的に質問しているだけだ、何を聞きたいのかわからないと言われた経験一度はあると思います。
もともと理学療法の問診が苦手だった私が、必ず5つのことを聞くようにすることで人当たりが良くきちんと問診ができていると褒められるようになりました。
これから理学療法士を目指す学生の方の参考になれば幸いです。
理学療法の問診で必ず聞くべき5つのこと

結論からになりますが、ゴール設定の為に必要な理学療法の問診で必ず聞くべき5つのことは
主訴
Demand
受傷前の状況
現在の状況
社会的背景
の5つです。
どれも一度は聞いたことのあることかと思います。
では1つずつ説明していきます。
主訴とは
主訴は理学療法を行う上でとても重要になるものであり、必ず問診で聞いておかなくてはいけないものです。
主訴とは漢字の通り患者さんが最も訴えたいことです。
例えば右膝の変形性膝関節症の患者さんなら、右膝が痛いといった訴えです。
ここで大切なのは膝が痛いで終わらせるのではなく、会話の中で深堀りすることです。
どのようなとき、どれくらい、どうすれば痛くないかなど問診の際痛みについては細かく聞くのが重要です。
特にどうすれば痛くないかというのは痛みの原因を知る上でとても大切のなるので必ず聞きましょう。
今何を一番に解決するべきなのかの手助けとなります。
Demandとは
理学療法でのDemandとは患者さんの要望のことを言います。
主訴と混ぜてしまっている方も多いようですが、厳密には別のものです。
先ほどと同じように変形性膝関節症の手術後の患者であれば、退院後は仕事に戻りたいといったことが患者のDemandになります。
こちらもゴール設定に確実に必要になるものなので、問診で聞く必要があります。
ここで似た言葉としてNeedというものがあります。
これは患者さんにとって必要としている者という意味で、一見Demandと似ているように思えます。
しかしNeedは患者のDemandに対し、医療従事者や家族の意見も足し合わせたもののことを言います。
例えば患者のDemandが趣味でやっていたフットサルに戻ることだったとしましょう。
しかし検査結果などを見る限りはフットサルをやることは厳しい、家族もフットサルをやったらまた怪我をしてしまうかもしれないからやめてほしいといった場合、NeedとDemandは別のものになる可能性があるわけです。
Demandは必ずできることとは限りませんが、患者さんのゴール設定やモチベーションにもかかわるので把握しておきましょう。
受傷前の状況とは

もう一つ理学療法のゴール設定で大切になるのが受傷前の状況です。
骨折で入院しに来た患者さんでも、骨折前にバリバリに動いていた人と、ずっと寝たきりだった人では目指すゴールは全然違います。
そのために理学療法の問診では受傷前の状況を必ず聞く必要があります。
特に生活の範囲がどの程度だったかは問診で必ず聞きましょう。
何か運動をされていたのか?それとも自宅中心で生活を送っていたのか、患者さんの状況に合わせて適切な治療を行っていきます。
聞き方は少し難しいですが、ここをしっかり聞くのと聞かないとでは問診のレベルがぐんと変わりますよ。
現在の状況
受傷前の状態を聞けたら、同じぐらい理学療法の問診で大切なのが現在の状況です。
入院中なら入院中の状況ですね。
今はどれぐらい動いているのか、生活な範囲はどれぐらいなのか、ADL動作はどの程度できるのかなど細かく聞いておきましょう。
また入院期間などが長い場合は経過を聞くのも大切です。
入院したての時と、現在までどれだけ違いがあるのかそれを把握しておきましょう。
回復の速さなどにやってもゴール設定は大きく変わるので、問診の際は細かく聞いておく必要があります。
また病院内の生活範囲は、検査測定を決定するのにも必要です。
例えば現在ベット上でしか生活をしていない人の歩行分析なんてできないですよね?
まずはその人がどの検査なら安全にできるのかを把握するためにも、問診で現在の状況は聞いておきましょう。
社会的背景
こちらが理学療法の問診で必ず聞いておくべきことの最後、社会的背景です。
しかし社会的背景は今までの情報以上にプライバシーな話になるので、言いたくない人や、聞かない方がいいタイミングなどもあります。
今聞いてもよいのかはその場でしっかりと自分で判断するようにしましょう。
理学療法における問診で必要な社会的背景とは、家族構成や家の構造、職業などのことです。
家族構成などは退院後介助をしてくれる人がいるかなどの把握に必要ですが、聞くタイミングには気を付けてください。
家の構造も理学療法の問診でとても大切な要素になります。
家に段差や階段があるかによって必要なレベルというのは変わってきます。
職業も仕事をやっている場合は、仕事内容やどれぐらい働くかなど問診で聞いておく必要があります。
デスクワークと、一日中動く仕事でもまたゴール設定が変わってきますので!
通勤方法なども聞いておくとよいですね。
理学療法の問診で必ず聞くべき5つのことのまとめ

今回は理学療法の問診で必ず聞くべき5つのことについて紹介しました。
もちろんこれ以外にも聞くことはたくさんありますし、病気によって聞くべきことも全然違ってきます。
しかしどんな病気であっても必ず聞くべきことが今回紹介した
主訴
Demand
受傷前の状況
現在の状況
社会的背景の5つになります。
もちろん状況によっては聞かない方がいいことなどもあります。
理学療法の問診に正解はありません。
患者さん一人一人に合わせ、その人に合った問診をする能力が必要です。
情報収集をするうえで必ず必要になる問診、何度も練習を重ねていってもらえればと思います。
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