日本理学療法士協会とは?加入するメリット・デメリット

理学療法 研究

4月を迎え、新たなスタートを切った新人理学療法士の皆さん、そしてキャリアの岐路に立ち、日本理学療法士協会への加入を検討されている皆さんへ。私自身も現在後期研修を受けている現役理学療法士ですが、先輩方の意見や職場の傾向も含め、色々な視点から、協会加入のメリット・デメリット、そして皆さんの今後のキャリア形成に役立つ情報をお届けします。

目次

日本理学療法士協会とは?加入するメリット・デメリット

さて、本題の日本理学療法士協会への加入についてです。かつては国家資格取得後、多くの人が自然に入会していましたが、近年は加入しない選択をする理学療法士も増えています。私の職場の実は休会します、辞めますという人が毎年数人います。協会加入は義務ではありませんが、今後のキャリアを考える上で重要な選択肢の一つです。

日本理学療法士協会とは

理学療法士の学術・技能の向上、職業倫理の高揚、理学療法の普及発展を図り、国民の医療・保健・福祉の向上に寄与することを目的とした職能団体です。

協会に入るメリット・デメリット

加入を判断するために、まずはメリットとデメリットを客観的に見ていきましょう。

メリットデメリット
会員向けニュースや研修会情報が入手しやすい年会費が高い(日本協会+都道府県士会で約2万円/年)
学会や研修会に会員価格(割引)で参加できる給料や診療報酬に直接的な影響は現状ない
賠償責任保険(身体賠償1事故300万円)に自動加入できる入会しなくても理学療法士として働くことは可能
認定・専門理学療法士の資格取得が可能になるメリットを感じにくい人もいる
学会発表や研修会講師、ガイドライン作成など学術活動の機会退会・休会の手続きが必要
福利厚生サービス「クラブオフ」が利用できる

メリットの詳細

  • 学習機会と情報: 研修会情報はマイページから全国のものを検索でき、会員限定や割引のある研修も多いです。会報誌からは協会の最新動向や地域(都道府県士会)の情報が得られます。
  • 賠償責任保険: 賠償責任保険の自動加入はメリットに入れましたが、何かあった時は350万じゃ足りないことがほとんどです。追加で加入するのがおすすめ。
  • キャリアパス: 認定・専門理学療法士を目指す場合は、協会への入会が必須条件となります。また、協会の研修会講師などの条件として、これらの資格が求められるケースも出てきています。個人的にはここが今後特に重要となる部分かなと思います。

デメリットの詳細

  • 費用: 年間約2万円の会費は高い!!正直ただ理学療法について学びたいというのならリハノメが一番コスパがいいかと思います。年間2万円、この費用対効果をどう考えるかがポイントになります。
  • 直接的な恩恵の少なさ: 現状、協会に入っていても、資格(認定・専門含む)を持っていても、それが直接給料に反映されたり、診療報酬が変わったりすることはありません(職場によればインセンティブがあるところもあるとか?)。これは、理学療法士の報酬が主に診療報酬(1単位20分)で決められており、個人の技術や経験が報酬に反映されにくい制度になっているためです。認定を持っていようが1年目だろうが20年目だろうが患者様から発生するお金は変わらないというのが現状です。

認定・専門理学療法士資格の価値と将来性

協会加入の大きなメリットの一つが、認定・専門理学療法士資格の取得です。しかし、「時間もお金もかかる割に意味がない」という声も聞かれます。実際のところはどうなのでしょうか?

資格取得のメリット

  • 専門性の深化: 特定分野の知識・技術を体系的に学び、スキルアップにつながります。自己研鑽の大きな動機付けにもなります。
  • キャリアアップ: 昇進や給与アップの可能性が高まるほか、転職時にも有利に働く可能性があります。
  • 信頼性の向上: 患者さんや他職種からの信頼を得やすくなります。専門知識を持つことで、相談や治療依頼が増えることも期待できます。
  • 他者との差別化: 上位資格として、他の理学療法士との差別化を図ることができます。

資格取得の現状と課題

資格取得には、カリキュラム履修や臨床経験、学会発表、試験合格など、多くの時間と労力、費用が必要です。そして前述の通り、現状では資格が直接的な給与アップにつながるケースはまだ少ないのが実情です。

将来の可能性(個人的見解を含む)

ここで、私自身の意見(後期研修中の理学療法士として)も踏まえ、将来的な可能性について触れたいと思います。これらはあくまで「可能性」であり、確定した未来ではありませんが、キャリアを考える上で重要な視点です。

  • 診療報酬への影響の可能性: 現在の診療報酬制度では、経験や資格による差はありません。しかし、理学療法士協会は、理学療法士の質の担保と社会的地位向上を目指しています。将来的には、資格保有者の専門性を評価する形で診療報酬が改定される可能性もゼロではないと考えられます(これはあくまで希望的観測を含む推測です)。
  • 理学療法士飽和時代への備え: 2040年には理学療法士の需要と供給が逆転し、飽和状態になると予測されています。このような時代において、認定・専門資格は、他者との明確な差別化要因となり、自身の市場価値を高める武器になる可能性があります。前述の通り、診療報酬で変わりはなくても転職で有利になる、昇進に影響するする可能性は高いです。
  • キャリアの多様化: 資格取得は、臨床以外のキャリアパス(研修会講師、研究、教育など)にもつながる可能性があります。

資格取得は大変ですが、長期的な視点で見れば、自己投資として大きなリターンを生む可能性があると私は考えています。

協会に入るべきか?判断のポイント

結局のところ、協会に入るべきかどうかは、個人の価値観やキャリアプランによって異なります。以下の点を考慮して判断しましょう。

  • キャリアプラン: 認定・専門理学療法士を目指したいか? 学会発表や研究活動に興味があるか?
  • 学習意欲: 研修会に参加したり、最新情報を得たりすることに価値を感じるか?
  • 経済的側面: 年会費の負担をどう考えるか?
  • 職場環境: 職場が協会加入を推奨しているか? 加入による手当などがあるか?
  • 協会の理念への共感: 理学療法士の社会的地位向上や、より良い医療・福祉の実現に向けた協会の活動に貢献したいか?

「入らないと働けない」わけではありません。しかし、理学療法士という専門職として、業界全体の動向に関心を持ち、自らの専門性を高めていく上で、協会が提供する情報や機会は有用である、というのが私の意見です。特に、医療保険・介護保険制度の中で働く以上、その制度を作る政治への関与(協会を通じた政策提言など)も、自分たちの将来を守るためには重要だと考えます。

特に職場がどのように考えているか?はとても重要だと思っています。私の職場は学会発表等を勧めており、認定等の資格を取る際の援助もしてくださります。

あなたが認定を取りたいと思っていても、職場からの逆風が強いのならば転職を考えるのもおすすめです。

PTOTキャリアナビレバウェルリハビリなどのリハビリ専門の転職サイトに複数登録し、情報を比較検討することをおすすめします。

まとめ

日本理学療法士協会への加入は、個々の理学療法士にとってメリット・デメリットが存在します。年会費という負担はありますが、学習機会の提供、賠償責任保険、資格取得への道、そして業界全体の発展への貢献といった側面も考慮すべき点です。

特に、認定・専門理学療法士資格は、将来的な理学療法士の飽和やキャリアの多様化を見据えた際に、重要な自己投資となり得ると考えられます。

最終的な判断は、ご自身のキャリアプラン、価値観、経済状況などを総合的に考慮して決めることが大切です。

この記事が、皆さんのより良いキャリア形成の一助となれば幸いです。常に学び続け、変化に対応していく姿勢が、これからの理学療法士には求められます。リハノメ等のオンライン学習ツールや転職サイトなども賢く活用しながら、自分らしい理学療法士としての道を歩んでいってください。

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