昼寝ってぐーたらしているイメージを未だにもっていらっしゃいますよね。
しかし、今では大企業でも昼寝を取り入れるほど、人間の生活にとって昼寝は必要なものとなってきています。
スペインなどでは「シエスタ」といって、国民的なお昼寝タイムもあります。
今や昼寝をした方が午後の作業効率が高まることは多くの研究から言われていることなのです。
今回は毎日昼寝をすることでどういった効果があるのかなど、昼寝についてお話をしていきます。
なぜ午後に眠くなるのか?

誰しも、お昼ご飯後の授業で眠くなったり、仕事でも眠くて集中できなかったという経験があると思います。
よく昼食でお腹がいっぱいになったから午後は眠たくなると言われていますが、実は食事の効果を取り除いた場合でも午後に眠気が出たことが報告されています。1)
お腹がいっぱいだから眠たくなるわけではない可能性があるということです。
また夜にしっかり睡眠をとっていた方でも午後に同じように眠気が出たそうです。2)
睡眠のリズムにはサーカディアンリズムと言われるものが関係していると言われていて、サーカディアンリズムとは簡単に言うと、体内時計のことです。
お昼の眠たさを起こしている原因はウルトラディアンリズムと言われる半日のリズムに関与していると言われています。
つまり誰でも午後になったら眠気がくるということです。
眠気がある状態で作業をしても集中できないですし、危険な場合もあります。
そのために昼寝をとる必要があるわけです。
昼寝の効果

昼寝にはたくさんの効果があります。
午後に起こってしまう眠気を取る効果
眠たいときに寝てるのですからもちろん眠気を取ってくれます。
ただよく聞いたことがあると思いますが、昼寝は長くとりすぎるのはNGです。
昼寝したはずなのに、逆に起きたら気分が悪くなっていたという経験はありませんか?
これは睡眠慣性と言われるもので、目覚めても睡眠が続いているような状態のことを指します。
起きてもまだ眠たい、まだ眠たいと何度も目覚ましを止めてしまうのもこの睡眠慣性によるものです。
30分以上寝てしまうと、この睡眠慣性が起きやすくなります。
昼寝をする場合は20分程度が一番ですね。
短い時間でも効果が高い
昼寝は夜の睡眠の3倍の効果があると言われています。
NASAの実験では、なんと26分間の昼寝で、認知能力が34%、注意力が54%も向上しました。
午後の眠気がある時間は事故も起こりやすいので、昼寝をして注意力を向上させることで事故を防ぐことにもつながります。
もちろん先ほどの言ったように長すぎる睡眠は逆に体をしんどくさせてしまう場合もあるので、時間を決めて昼寝を取るのがおすすめです。
血圧が下がる
現代の大きな問題となっている高血圧ですが、昼寝を取ることで高血圧予防になる可能性があるということです。
血圧は2mmHg下げるだけでも、心筋梗塞のリスクを10%減らすことができると言われています。
同じ降圧薬を飲んでいて、昼寝をした群と昼寝をしなかった群では、昼寝をした群の方がより血圧が低下しています。
高血圧で悩んでいる方は一日1回、20分ほどの昼寝を取り入れてみるのもいいかもしれません。
昼寝を習慣化することで効果が高くなる
これがなかなか面白く、昼寝を3日以上習慣化して行うと、より午後の眠気は改善されます。
逆に昼寝が習慣化していない人が急に昼寝を行うと、先ほど紹介した起きてからしばらくの間眠気が続いてしまう睡眠慣性の状態に陥りやすいです。
毎日午後の時間に20分昼寝を取ることを習慣化することで、より昼寝の効果を高めることができます。
どのように昼寝を取ればいいのか?

昼寝の取り方としては、静かな場所でベッドに寝転んで、20分タイマーセットし、毎日昼寝をするというやり方がベストでしょう。
できるだけ毎日昼寝をすると言っても、働いていたり学校にいるならベッドで寝ることなんてできない!!という方も多いかと思います。
実はベッドで寝なくても、椅子に座って20分間睡眠をとった場合でも、ベッドと同様の眠気の軽減効果が得られたと報告されています。3)
途中で起きてしまうということがベッドよりは多かったようですが、眠気の改善としては椅子で寝ても効果があると言えそうです。
昼寝なんて取れない!時間がない!って方は試してみてください。
また1分間目を閉じるという方法は夜の睡眠に影響しないため、一日何回やってもいいです。
ちょっと疲れたなーというときにやってみましょう。

毎日20分、椅子でもいいので昼寝を習慣化してみましょう!
参考文献
1) Stahl, M.L., Orr, W.C. and Bollinger, C. Postprandial sleepiness: Objective documentation via polysomnography. Sleep 6: 29-35, 1983
2)Carskadon, M. A.:Ontogeny of human sleepiness as measured by sleep latency. In: D. F. Dinges & R. J. Broughton. (Eds.), Sleep and Alertness: Chronobiological, Behavioral, and Medical Aspects of Napping. Raven Press, New York. 53-69, 1989
3)小山秀紀,鈴木一弥,他.昼寝椅子における短時間仮眠が睡眠の質,パフォーマンス,眠気に及ぼす影響: 労働科学. 95(2): 56-67, 2019




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