理学療法士の卵である学生にとって、臨床実習は知識と技術を磨く貴重な機会です。しかし、それと同時に、取り扱う個人情報の多さから、情報漏洩のリスクも高まります。
「メモを取っていただけなのに…」 「ちょっとSNSに投稿しただけなのに…」
そんな軽い気持ちで、取り返しのつかない事態に発展してしまうケースも少なくありません。実際に、実習中止や警察沙汰にまで発展したケースもあるのです。
この記事では、新人理学療法士が臨床実習で個人情報を適切に扱うための鉄則と具体的な対策を徹底的に解説します。個人情報保護法の基礎知識から、メモの書き方、カルテやレントゲンの取り扱い、SNSでの注意点まで、実習を安全に、そして有意義に進めるために必要な情報を網羅しています。
個人情報とは何か?
個人情報とは、個人を特定できる情報のことです。氏名や住所はもちろん、生年月日、電話番号、メールアドレス、病歴、治療内容なども含まれます。
個人情報保護法では、個人情報を適切に扱う義務が事業者に課せられています。医療機関も例外ではなく、患者さんの個人情報を厳重に管理する責任があります。
臨床実習生として、なぜ個人情報保護が重要なのか?
臨床実習生は、医療機関から患者さんの個人情報を預かる立場にあります。万が一、情報漏洩が起これば、患者さんのプライバシーを侵害し、多大な損害を与える可能性があります。
また、情報漏洩は医療機関の信頼を失墜させ、実習生の将来にも悪影響を及ぼす可能性があります。個人情報保護は、理学療法士としての倫理観と責任感に基づく、非常に重要な課題なのです。
具体的な個人情報保護対策
1. メモやレジュメの書き方
- 氏名: イニシャルも使用せず、患者番号や仮名で管理します。
- 生年月日・年齢: 具体的な記載は避け、「○歳代」のように年代で表現します。
- 手術日・理学療法開始日: 「4月21日リハビリ開始」等ではなく「術後○日目」「リハビリ開始○日目」のように、相対的な表現を用います。
- 病名・治療内容: 具体的な病名や治療法は記載せず、必要に応じて略語やコードを使用します。
2. カルテ・レントゲンの取り扱い
- 写真撮影・コピー: 厳禁です。
- 持ち出し: 許可なく持ち出してはいけません。
- 閲覧: 必要最小限の情報のみを確認し、速やかに返却します。
- 廃棄: シュレッダーにかけるなど、適切な方法で廃棄します。
3. パソコン・USBメモリの取り扱い
- パスワード設定: 必ずパスワードを設定し、第三者による不正アクセスを防ぎます。
- ウイルス対策: 最新のウイルス対策ソフトを導入し、定期的に更新します。
- データの持ち出し: 許可なく持ち出してはいけません。
- 紛失・盗難: 万が一の場合に備え、バックアップを取っておきましょう。
4. SNSでの注意点
SNSが発展している今、しんどかったことや逆にうれしかったことをついついSNSに載せたいと思うことがあるかもしれません。ただどんな情報から患者さんの個人情報や、また働いているスタッフの個人情報が漏洩してしまうかはわかりません。
Xやインスタグラムなどじゃなく、LINEなら大丈夫なんてこともありません。
基本的には実習に関する内容についてはSNSにどんな内容でも投稿しないようにしましょう。
5. その他の注意点
- 口外禁止: 患者さんの情報は、許可なく口外してはいけません。
- 疑問点は質問: 個人情報の取り扱いについて疑問があれば、指導者や大学の教員に確認しましょう。
個人情報保護はチームで取り組む
個人情報保護は、実習生一人だけの問題ではありません。指導者や病院スタッフと連携し、チーム全体で取り組むことが重要です。
定期的に個人情報保護に関する研修や勉強会を開催し、知識を共有しましょう。また、情報漏洩が発生した場合の対応手順を事前に確認しておくことも大切です。
まとめ
臨床実習での個人情報保護は、理学療法士としての倫理観と責任感を問われる重要な課題です。この記事で紹介した対策を徹底し、患者さんのプライバシーを守りながら、実習を有意義に進めていきましょう。
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