理学療法士の仕事を行う上で、患者さんのカルテを正確に書くことは非常に重要な業務の一つです。カルテには患者さんの治療方針や経過を正確に記録することで、次の治療の参考になる他、保険請求の処理にも関わってきます。この記事では、新人理学療法士のカルテの書き方について学ぶ上で必要なポイントについて解説していきます。
カルテの基本事項の確認
カルテは患者さんのリハビリテーションの方針や経過を記録するだけでなく、基本情報も必要な情報です。特に初回評価の際には疾患名や現病歴、既往歴、同居する家族の有無や家の構造、もともとの生活について(歩行補助具使用しているのか、家事をするのか、外へは毎日出るのか)などは記入するようにしましょう。また、身長、体重、アレルギー、投薬履歴も詳細に記録しておくと他の方が見た際に参考になることが多いです。
リハビリテーションの方針や目標の記載
リハビリテーションの方針や目標は、治療開始時に必ず設定しましょう。いわゆるゴール設定ですね。リハビリテーションの方針は患者さんの状態に合わせた計画です。リハビリテーション目標はリハビリテーションの方針に沿って設定される、治療内容の具体的な目標です。リハビリテーションの方針や目標は治療が進んでいく中で変更されることもありますが、変更した場合には、その理由と変更内容を明記するのをおすすめします。
例:独歩レベルでの退院を目標としていたが、○○の理由から早期退院することとなり杖レベルでの退院を目標とするなど
また目標設定は短期ゴールと長期ゴールの二つを設定しましょう。職場にもよりますが、私が働いている病院では短期ゴールは1か月ほど、長期ゴールは3か月か退院時の目標を記載することが多いです。
正確なアセスメントの記録
治療方針を決定するために、患者さんの詳細な状態を記録する必要があります。アセスメントは、患者さんの状態を正確に記録するためのもので、重要な情報源となります。アセスメントは身体機能、運動能力、筋力などを含みます。アセスメントには、使用する検査や評価方法、結果、解釈も含め、詳しく記録しましょう。
特に統合と解釈の部分は大切です。文献や教科書などをもとに、自分なりの考えを記載しましょう。その情報を見て先輩方から意見ももらえるはずです。
リハビリテーションの進歩を記録
リハビリテーションの効果を確認するため、その進歩を記録することが必要です。1週間前は可動域が〇°だったのが△°となった、これもリハビリテーションの進歩ですね。もちろんいいことだけでなく、疼痛の増悪など昨日と比べて悪くなってしまった部分書いておくのも大切です。
他にもリハビリテーションの進み具合は、身体機能の改善や痛み、今後の目標などに関する情報などがあります。進歩がある場合には、その理由や要因を詳細に掲載することが大切です。
連携体制の記録
リハビリテーションには複数の職種が携わります。それらの連携体制の記録は、スムーズな治療に必要な情報となります。連携する職種は、治療方針や目標に合わせた協力関係を構築しましょう。
例えば患者さんのADLupを行った場合も「担当OT、Nsと相談の上、院内での移動面のADLを歩行器から杖へと変更する。」と記載する。リハビリ中血圧が高値となった場合に「歩行練習後、血圧○○となったため、リハビリを一時中止し、Nsへと報告する」等の記載をしておく。報連相をしていたことを明記しておくことも、後で自分の身を守ることとなります。
カルテの書き方から学ぼう!新人理学療法士の仕事術のまとめ
以上が、新人理学療法士がカルテの書き方について学ぶ上で最低限押さえておくべきポイントです。正確な情報を、適切なタイミングで正確に記録し、関係者に必要な情報を共有することが、患者さんの治療に大きく貢献します。初めは難しく感じるかもしれませんが、実務を経験し、上司や先輩理学療法士に相談しながら、正確かつ効率的なカルテの記録を行えるようになりましょう。
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